埋伏歯とは
埋伏歯(まいふくし)とは、本来は生えてくるはずが、あごの骨や歯ぐきの中に埋まったまま出てこない歯のことをいいます。
通常、乳歯が抜けるとそのスペースに永久歯が自然に生えてきますが、方向がずれていたり、スペースが足りなかったりする場合には、永久歯が生えてこられず埋まったままになってしまうことがあります。
埋伏歯が最も多いのは親知らずで、次いで過剰歯・犬歯(糸切り歯)・中切歯・第二小臼歯に多く見られます。
発生率は3〜8% と、決して珍しいものではありません。
埋伏歯の原因
埋伏歯には、歯の発育や萌出の過程におけるさまざまな異常が関係していることがあります。
主な原因として、次のようなものが挙げられます。
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cause01 歯胚の位置異常と萌出方向の異常
歯は顎の骨の中で作られ、正しい位置・正しい方向に向かって生えてきます。
しかし、歯の種(歯胚)が本来とは異なる場所に形成されたり、生えてくる方向が斜め・横向き・内側や外側にずれていたりすると、正常な位置へ出てくることができません。
その結果、隣の歯や顎の骨にぶつかって進路を失い、歯ぐきや骨の中に埋まったままになることがあります。
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cause02 歯の形や大きさの異常(矮小歯)による萌出障害
矮小歯
矮小歯とは、本来の歯よりもサイズが小さい歯のことです。形も不完全で丸みを帯びていたり細長かったりします。
永久歯は口腔内にある乳歯や永久歯を“目印”に正しい位置へ生えてきますが、目印になる歯が矮小歯だと歯が小さすぎて目印にならず、歯の位置が不安定になりやすくなります。
その結果、後から生えてくるはずの永久歯があごの骨や歯ぐきの中で埋伏歯になることがあります。 -
cause03 歯の発育・萌出時期の異常
歯は一定の順序と時期に合わせて発育し、生えてきます。
しかし、歯の成長が遅れたり、逆に周囲の歯より極端に早く動き出してしまったりすると、きれいに生えるスペースやタイミングを失ってしまうことがあります。
その結果、歯が正しい位置まで出てこられず、途中で止まってしまったり、歯ぐきや顎の骨の中に埋まったままになることがあります。 -
cause04 歯牙腫・過剰歯による萌出障害
歯牙腫
歯牙腫とは、骨の中にある歯や歯根のそばにできる良性の腫瘍です。
歯が作られる時に残った余分な細胞が歯のそばで分裂し腫瘍を形成してしまうことがあります。
腫瘍ができる位置によって、歯の生える方向が変わってしまったり、周囲の歯を圧迫したり、歯が生えるのを邪魔して埋伏歯になったりします。
過剰歯
過剰歯とは、本来の歯の本数よりも多く作られてしまった余分な歯のことです。
過剰歯が永久歯の進行を妨げる位置にある場合、永久歯が正しく生えず、埋伏歯になったりします。
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cause05 顎のスペース不足
顎の大きさに対して、1本1本の歯が大きい場合、生えるスペースが足りず永久歯が埋まってしまうことがあります。もともと顎が小さい・狭い方も、歯が並ぶためのスペースがなく、永久歯が正しい位置に萌出できない原因となります。
特に上顎の犬歯は埋伏しやすく、埋まった犬歯が周囲の歯の根を圧迫すると、隣の側切歯の歯根吸収(歯の根が溶ける状態)を引き起こすことがあります。犬歯の埋伏が進行し、側切歯の歯根吸収が進むと、抜歯になる可能性があります。
治療が遅れるとどうなる?
埋伏した歯が周囲の歯の根に圧力をかけ続けると、歯根吸収(歯の根が溶ける状態)が起こることがあります。一度溶けてしまった歯根は元に戻らず、進行すると大きなダメージが残り、場合によっては抜歯が必要になることもあります。
また、埋伏歯を長期間放置すると歯を引っ張り出すことが難しくなり、埋まったままになってしまうことがあります。さらに、歯や顎の位置のズレが大きくなるため、矯正治療が難しくなり、治療期間が長くなります。
そのため、早期に正確な診断を行い、適切な時期に治療を開始することがとても重要です。
埋伏歯への対処法
乳歯の抜歯と萌出の促進
乳歯が長い期間残っていると、下にある永久歯が埋伏歯になってしまうことがあります。
その場合は、まず乳歯を抜歯し、永久歯が生えるためのスペースを確保します。
必要に応じて、歯列を広げる装置や奥歯を後ろへ移動させる装置を併用して十分なスペースを確保します。これは、正しい方向に永久歯を導くために欠かせない大切なステップです。
ただし、乳歯を抜くことで奥歯が前に倒れ込んでしまうことがあるため、多くの場合は倒れ込みを防ぐ装置も併せて使います。抜歯後は、埋伏している永久歯が自然に生えてくるかどうかを慎重に観察し、必要に応じて次の ステップ(牽引など)へ進めていきます。
開窓術(歯ぐきを開いて萌出を助ける処置)
歯ぐきが線維化して硬くなっており下から永久歯が生えてこない場合や埋伏している位置が浅い場合は、開窓術を行います。
局所麻酔をしてから余分な歯肉を切除し、永久歯が自然に出てきやすい環境を作ります。
処置後は永久歯が自力で生えてくるのを見守ります。
開窓牽引術(矯正の力で正しい位置へ導く治療)
埋伏している歯の向きが、骨の中で正しい方向を向いていない場合は、開窓術の後に歯を引っ張る牽引を併せて行います。
局所麻酔をしてから余分な歯肉を切除して歯面を露出させ、矯正装置を取り付けます。その後少しずつ適切な力をかけることで埋まっている歯を引き出し正しい位置へ誘導しています。
引っ張る向きや力加減は慎重に調整し、周囲の歯に悪影響のないようにします。開窓牽引術は専門的な技術と知識を要しますが将来の歯並びや嚙み合わせを改善する重要な治療です。
当院なら、手術から
矯正まで院内で一貫対応
多くの歯科医院では、開窓術は口腔外科で、牽引術は矯正歯科と複数の医院を行き来する必要があるため、体力的にも負担が大きくなります。
しかし、おくだ歯科・矯正歯科では、院長が口腔外科、副院長が矯正歯科を担当しているため、開窓(外科処置)から牽引(矯正治療)までを、すべて院内で一貫して行うことが可能です。
そのため、
- 移動や通院の手間が少ない
- 外科と矯正の情報共有が正確でスムーズ
- 治療の進行が早い
といった大きなメリットがあります。
質の高い治療を提供できる体制が整っているため実際に、約9割以上の埋伏歯症例を院内で対応しております。






