- コラム
目次
「失った歯を補う治療法を知りたい」
「治療費や期間、治療方法の比較をしたい」
「30代の自分に適した治療法や症例を確認したい」
歯がない30代の方で、失った歯を補う治療法に迷われている方のなかには上記のようなお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。
失った歯の治療法には、入れ歯、ブリッジ、インプラントなどが挙げられます。この記事では、各治療法の特徴や費用、治療期間を解説します。
治療にかかる費用を抑える方法や、30代の歯の治療を成功させるポイントもご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
30代で歯がない方におすすめな治療法3選
30代で歯がない方におすすめな治療法は、以下の3つです。
- 【入れ歯】費用を抑えたい方
- 【ブリッジ】両隣の歯が丈夫な方
- 【インプラント】自然な見た目と噛み心地を重視する方
1つずつご紹介します
【入れ歯】費用を抑えたい方
30代の方で、費用をできるだけ抑えたい場合には入れ歯が1つの選択肢です。保険適用のものなら比較的安価に作製でき、外科手術も必要ありません。取り外して洗えるため、お手入れがしやすいのもメリットです。
ただし、噛む力はブリッジやインプラントよりも弱く、装着感に違和感を覚えやすいです。
【ブリッジ】両隣の歯が丈夫な方
失った歯の両隣に、土台となる丈夫な歯がある30代の方にはブリッジという治療法が選択肢もあります。名前のように、なくなった部分に橋を架けるように一体型の被せ物を装着する方法です。
入れ歯と違って固定式なため、自分の歯に近い感覚でしっかり噛めるのがメリットといえます。
ただし、支えにするために両隣の健康な歯を削る必要があるため、健康な歯をできるだけ削りたくない方は、ほかの治療法を検討しましょう。
【インプラント】自然な見た目と噛み心地を重視する方
30代の方で、機能性や見た目を重視し、長期的に安定した状態を望むならインプラントがおすすめです。顎の骨に人工の歯根を埋め込むため、自分の歯のようにしっかりと噛むことができ、見た目も自然に仕上がります。
ブリッジのように健康な隣の歯を削る必要がないのも、歯がない30代の方にとってメリットです。
自由診療で費用は高額になりますが、満足度の高い治療といえます。
【比較表】各治療法の費用・治療期間
以下は、各治療法の費用・治療期間を表にまとめたものです。
費用相場 |
治療期間の目安 |
|
入れ歯 |
保険適用 約5千円~1万5千円 |
約2週間~1カ月 |
自由診療 約15万円以上 |
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ブリッジ |
保険適用 約2万円〜3万円 |
約1カ月~2カ月 |
自由診療 約10万円~40万円 |
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インプラント |
自由診療 約30万円〜50万円(歯1本あたり) |
約3カ月~1年 |
治療期間はあくまで目安であり、個人差があります。費用は歯科医院によって異なるため、詳細は歯科医院へお問い合わせください。
治療にかかる費用を抑える方法
治療にかかる費用を抑える方法は、以下の4つです。
- 保険が適用される治療法や素材を選ぶ
- 医療費控除を申請して税金の還付を受ける
- デンタルローンや院内での分割払いを利用する
- 高額療養費制度の対象になるか確認する
1つずつ解説します。
保険が適用される治療法や素材を選ぶ
治療費を抑える基本的な方法は、健康保険が使える保険診療で治療を受けることです。保険診療の場合、治療費の自己負担は原則3割なため、費用を抑えられます。歯がない場合の治療では、入れ歯やブリッジが保険適用の対象となります。
ただし、使える素材や治療法に決まりがあるため、見た目や機能性を追求したい場合は保険外の自由診療も検討しましょう。
医療費控除を申請して税金の還付を受ける
年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告で医療費控除を申請すると、納めた税金の一部が還付されます。支払った医療費に応じて所得が控除され、結果的に所得税や住民税の負担が軽くなる仕組みです。自由診療のインプラント治療も、噛み合わせの改善といった医療目的であれば対象になります。
家族全員の医療費を合算できるため、領収書は必ず保管しておきましょう。
デンタルローンや院内での分割払いを利用する
一度に大きな金額を支払うのに抵抗がある30代の方には、歯科医院が提携する「デンタルローン」や院内分割払いも有効な選択肢です。高額な治療費を月々数千円からの無理のない返済額に分けられるため、経済的な負担を分散できます。
デンタルローンや院内分割払いにより、高額な費用が理由で諦めていたインプラントも、受けやすくなります。金利は提供元によって異なるため、歯科医院へご相談ください。
高額療養費制度の対象になるか確認する
保険診療の範囲内で、1カ月の医療費が高額になった場合は高額療養費制度を利用できるか確認しましょう。高額療養制度は、所得に応じて定められた自己負担の上限額を超えた分が、あとで払い戻される仕組みです。
たとえば、顎変形症の外科手術を伴う矯正治療といった、保険適用の治療で入院した場合に対象となるケースがあります。自由診療であるインプラント治療には適用されないため注意が必要です。
関連記事:ほとんど歯がない場合の治療費|治療費を抑える方法も紹介
30代で歯がない状態になる原因
30代で歯がない状態になる原因は、以下の5つです。
- 虫歯を放置していた
- 歯周病が進行していた
- 外傷(事故)によって抜歯が必要だった
- 酸蝕症で歯がもろくなっていた
- 歯ぎしりの癖によって歯に負担がかかっていた
それぞれ解説します。
虫歯を放置していた
30代で歯を失う原因でとくに多いのが、小さな虫歯を放置した結果、歯の根まで菌が達して抜歯に至るケースです。痛みといった自覚症状がないため、初期段階では気づきにくく、治療を放置してしまい、虫歯が神経まで達し、気づいたときには抜歯を余儀なくされます。
仕事や育児で忙しく、歯科医院から足が遠のいてしまうのが、発見が遅れる一因です。
歯周病が進行していた
30代で歯を失うもう1つの原因が、歯周病です。歯周病は、歯を支えている顎の骨を溶かしていく病気で、進行すると歯がグラグラになり、最終的には自然に歯が抜け落ちます。痛みといった分かりやすい症状が出にくいため、気づいたときには手遅れなケースも少なくありません。
定期的な歯科検診で歯茎の状態をチェックするのが、歯周病から歯を守るポイントです。
外傷(事故)によって抜歯が必要だった
30代では、スポーツや日常生活での転倒、交通事故といった外傷(事故)が原因で、歯を失うケースも珍しくありません。外傷による強い衝撃で歯が折れたり、根元から抜け落ちたりして、保存が不可能な状態になります。とくに、コンタクトスポーツや自転車での転倒には注意が必要です。
万が一歯が抜けてしまった場合は、すぐに歯科医院を受診しましょう。
酸蝕症で歯がもろくなっていた
酸の強い飲食物の習慣的な摂取で、歯が溶ける酸蝕症(さんしょくしょう)を発症した結果、歯がもろくなり失う場合もあります。酸蝕症は、炭酸飲料やお酢、柑橘類などを頻繁に口にする習慣や、逆流性食道炎による胃酸が主な原因です。
酸蝕症によって、歯の表面のエナメル質が酸で弱くなり、徐々にすり減っていくため、歯が欠けやすくなります。その影響で、ある日突然歯が大きく割れてしまうおそれも。
歯ぎしりの癖によって歯に負担がかかっていた
睡眠中や日中の無意識の歯ぎしりや食いしばりが、歯に過度な負担をかけて失う原因になる場合があります。人が噛みしめる力は自分の体重以上におよぶ場合もあり、その力が歯や根にダメージを与え、ひび割れを引き起こします。
人間関係や仕事のストレスで、歯ぎしりや食いしばりの癖が強まる傾向があるため、歯科医院でマウスピースを作製して歯を保護するのが効果的です。
30代で歯がない状態を放置する6つのリスク
30代で歯がない状態を放置するリスクは、以下の6つです。
- 1本の歯を失うだけで大きなトラブルを引き起こす
- 見た目の悪化が自信喪失につながる
- 口臭が強くなる
- 食事に制限がかかり栄養バランスが偏る
- 残っている歯への負担が増える
- 噛み合わせの悪化が顎や身体に悪影響を及ぼす
1つずつ解説します。
1本の歯を失うだけで大きなトラブルを引き起こす
歯が1本抜けたままにすると、隣の歯が倒れ込んできたり、噛み合う相手の歯が伸びてきたりして、全体の歯並びが崩れる場合があります。歯は互いに支え合ってバランスを保っているため、1カ所の隙間がドミノ倒しのように全体の噛み合わせを悪化させるのです。
将来的に治療をしようと思ったときには、より大がかりで費用のかかる処置が必要になるリスクも。
見た目の悪化が自信喪失につながる
前歯といった目立つ部分の歯を失うと、見た目の印象が変わり、自信をなくす精神的なリスクもあります。人と話すときに口元を手で隠したり、思い切り笑えなくなったりと、日常生活に影響が出る方も少なくありません。
歯がないことへのコンプレックスは、コミュニケーションへの不安につながり、対人関係にまで影響を及ぼすリスクがあります。
口臭が強くなる
歯が抜けたままの空間は食べかすが溜まりやすく、細菌が繁殖して口臭が強くなる原因の1つです。歯ブラシが届きにくい場所に溜まった汚れを、細菌が分解する際に不快な臭いのガスを発生させます。
また、隣の歯が傾いてできる新たな隙間も、清掃が困難で口臭を悪化させる一因です。
お口の健康だけでなく、周囲へのエチケットのためにも早めに対処しましょう。
食事に制限がかかり栄養バランスが偏る
歯がない状態ではしっかり噛むのが困難になり、柔らかいものばかり選ぶようになって栄養バランスが偏るリスクがあります。硬いお肉や根菜類などを避け、パンや麺類といった食べやすいもの中心の食生活になってしまうのです。
本来必要な栄養素が不足し、身体全体の健康に影響を及ぼしかねません。好きなものを美味しく食べ、健康を維持するためにも、噛む機能の回復は大切です。
残っている歯への負担が増える
抜けた歯の分まで残りの歯で噛むため、周囲の歯に過度な負担がかかり、歯の寿命を縮めてしまうリスクがあります。本来、歯全体で支えるべき噛む力を、より少ない本数で受け止めるため、負担が大きくなった歯はすり減ったり、ひびが入ったりしやすいです。
最悪の場合、健康だった歯まで失う悪循環に陥るおそれがあります。
噛み合わせの悪化が顎や身体に悪影響を及ぼす
歯が抜けたのをきっかけに噛み合わせがずれると、顎の関節に負担がかかり、頭痛や肩こりなど全身の不調につながる場合があります。無意識のうちに噛みやすい側ばかりで噛むようになり、顔の筋肉や骨格のバランスが崩れてしまうのが原因です。
その結果、顎の痛みや口の開けにくさを引き起こす顎関節症を引き起こす場合もあります。お口の中の問題が、身体全体の健康まで左右するのを理解しておきましょう。
関連記事:歯がないとどうなる?考えられるリスクと対策方法
30代の歯の治療を成功させるポイント
30代の歯の治療を成功させるポイントは、以下の5つです。
- 自分に合った治療法を選ぶ
- 信頼できる歯科医院・医師を選ぶ
- 治療のリスクについて知っておく
- 治療費や期間、ライフスタイルに合わせて計画する
- 治療中のケアと定期メンテナンスを徹底する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自分に合った治療法を選ぶ
30代の歯の治療では、費用や見た目、ライフスタイルなど、ご自身が何を重視するかを考え、自分に合った治療法を選ぶのが重要です。入れ歯・ブリッジ・インプラントには、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。
カウンセリングの際に、「費用は抑えたい」「とにかく自然に見せたい」といった希望を歯科医師に正直に伝えましょう。自分の価値観と専門家の意見をもとに、納得のいく選択をするのが矯正治療で後悔しないためのポイントです。
信頼できる歯科医院・医師を選ぶ
どの治療法を選ぶにしても、最終的な満足度は歯科医院や医師の技術力と相性に左右されるため、慎重に歯科医院を選ぶ必要があります。複数の選択肢を公平に説明してくれたり、質問に丁寧に答えてくれたりする医師は信頼できます。
歯科医院を選ぶ際は、Webサイトで治療実績や症例写真を確認するのも有効な方法です。いくつかの医院でカウンセリングを受け、ここなら任せられると思える場所を見つけましょう。
信頼できる歯科医院・医師を選ぶ際のポイントは、以下の4つです。
- 実績や症例数を確認する
- 資格や専門医の有無をチェックする
- カウンセリングで丁寧な説明があるか確認する
- アフターケアや保証制度が整っているか確認する
1つずつ解説します。
実績や症例数を確認する
信頼できる歯科医院を選ぶには、Webサイトで治療実績や症例写真を確認し、医師の経験や技術力を確かめるのが重要です。とくにインプラントのような外科手術を伴う治療では、症例数の多さが信頼の目安になります。
自分と似たような年代や歯の状態の人の治療例を見るのは、仕上がりをイメージするうえでも役立ちます。多くの経験を持つ医師の場合、さまざまな状況に的確に対応してくれるため安心です。
資格や専門医の有無をチェックする
より専門的な治療を安全に受けるためには、インプラントや歯周病といった分野の学会が認めた専門医や認定医の資格を持つ医師を選ぶのがおすすめです。これらの資格は、厳しい基準をクリアした、高い知識と技術を持つ証です。
医師の経歴は、院内の掲示やWebサイトのプロフィールで確認できます。資格がすべてではありませんが、安心して治療を任せるための客観的な指標にしましょう。
カウンセリングで丁寧な説明があるか確認する
良い歯科医院かどうかを見極めるには、カウンセリングで治療内容や費用、リスクについて、患者が納得するまで丁寧に説明してくれるかがポイントです。あなたの質問に真摯に耳を傾け、メリットだけでなくデメリットも隠さず話してくれる医師を選びましょう。
専門用語ばかりで説明が分かりにくかったり、こちらの希望を聞いてくれなかったりする医院は注意が必要です。
アフターケアや保証制度が整っているか確認する
治療の長期的な成功のためには、治療後の定期的な検診やクリーニングといったアフターケアと、保証制度の有無を確認するのが大切です。とくにインプラントのような自由診療は、治療が終わったあとのメンテナンスが歯を長持ちさせるうえで重要です。
万が一、被せ物が壊れたりした際に無償または割引で再治療してくれる保証があれば、より安心して治療を受けられます。
治療のリスクについて知っておく
どんな治療法にもメリットだけでなく、デメリットやリスクが存在するため、事前に内容をきちんと理解しておくのが大切です。たとえば、インプラントには外科手術が伴い、ブリッジは健康な歯を削る必要があります。これらの情報を知ったうえで治療法を選択すると、万が一トラブルが起きても冷静に対応できます。
信頼できる医師を見極めるために、良い点だけでなく懸念点も隠さず説明してくれるかを見極めましょう。
治療費や期間、ライフスタイルに合わせて計画する
30代の治療計画では、費用や期間はもちろん、仕事や家庭の状況といったご自身のライフスタイルも考慮するのがポイントです。無理な支払い計画は途中で治療を断念する原因になり、忙しくて通院が困難な場合、治療期間が長引きます。
カウンセリングの際に、自分の予算や通える頻度を正直に伝え、現実的な計画を歯科医師と一緒に立てましょう。
治療中のケアと定期メンテナンスを徹底する
治療の成功と長期的な安定のためには、治療期間中のセルフケアと、治療後の定期メンテナンスを徹底する必要があります。とくにブリッジやインプラントの周りは汚れが溜まりやすいため、歯間ブラシやデンタルフロスを使い、毎日の清掃を丁寧におこないましょう。
矯正治療が終わったあとも、歯科医院で定期的に噛み合わせのチェックや専門的なクリーニングを受けるのが、虫歯や歯周病のを防ぐうえで大切です。
まとめ
歯がない30代の方がおこなう治療法の選択肢として、入れ歯、ブリッジ、インプラントがあります。
入れ歯やブリッジ、インプラントにはそれぞれメリットとデメリットがあるため、自分に合った治療を選ぶ際は、治療後の歯の見た目や機能性を重視したい、予算をできるだけ抑えたいなど、何を優先するか順位を決めるのがおすすめです。
当院は、口腔内全体の健康を考え、できるだけ長持ちさせるためのプランニングを心がけております。歯がない30代の方で治療法にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

監修者
おくだ歯科 院長
奥田 幸祐(オクダ コウスケ)
プロフィール
歯科医師として歩みを始めたときから、インプラント治療における様々な症例に対応し、他院で治療ができなかった難症例も数多く治療してきました。自身が日々研鑽を積むだけでなく、多くのドクターにインプラント治療の指導も行っています。この豊富な経験と実績で、皆様に寄り添い難症例にも対応してまいりますので、お悩みの方は是非一度当院にご相談ください。
経歴&職歴
- 平成17年:朝日大学 歯学部 首席で卒業
- 平成17年〜24年:付属病院、開業医勤務
- 平成25年:おくだ歯科・矯正歯科 可児市広見にて開業
- 平成27年:医療法人化 医療法人ALESおくだ歯科・矯正歯科
- 平成27年:厚生労働省認定 歯科医師 臨床研修指導医 取得
- 令和元年:ITI公認 インプラントスペシャリスト
- 令和5年:日本顎咬合学会 嚙み合わせ認定医 取得
- 令和5年:特定非営利活動法人 放射線学会 CBCT認定医 取得