- コラム
不慮の事故や口腔内トラブルで大切な前歯を失い、仮歯での生活に不自由やストレスを感じていませんか?「笑うと不自然に見えないか気になる」「高額な治療をして失敗したらどうしよう」と、鏡を見るたびに不安になる方もいるのではないでしょうか。
歯が抜けた際の治療法には、インプラント・オールオン4・6・ブリッジ・入れ歯の4種類があります。歯が抜けた際の治療選びは、単に歯の穴を埋めるだけでなく、将来の口元の美しさと健康を守るための重要な選択です。
本記事では、歯が抜けた場合の治療法やその特徴、費用や期間の目安費用を解説します。
歯が抜けたままを放置するリスクや、後悔しない歯科医院の選びのポイントもご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
歯が抜けた人におすすめの治療

ここでは歯が抜けた際の治療法を4つご紹介します。
- インプラント
- オールオン4・6
- ブリッジ
- 入れ歯
ひとつずつ見ていきましょう。
インプラント
インプラントとは、歯がなくなった部分の顎の骨にチタン製の人工歯根(インプラント体)を埋め込み、そのうえに人工の歯を装着する治療法です。自分の歯と同じように顎の骨で支えるため、硬いものでもしっかりと噛めるのがインプラントの特徴です。
また、ブリッジのように隣の健康な歯を削る必要がないため、ほかの歯に負担をかけずに治療をおこなえます。ただし、外科手術が必要であり、原則として保険適用外のため費用が高額になる点は理解しておきましょう。
関連記事:歯がなくてもインプラントはできる?インプラント以外の選択肢も紹介
オールオン4・6
オールオン4・6は、総入れ歯の方や多くの歯を失った方向けの、最少4本から6本のインプラントですべての人工歯を支える治療法です。すべての歯にインプラントを入れるよりも埋め込む本数が少ないため、手術による身体への負担や費用を抑えられます。
オールオン4・6は手術をしたその日に仮歯を入れられる場合も多く、すぐに噛める機能と見た目の美しさを取り戻せるのが魅力です。
ブリッジ
ブリッジは、失った歯の両隣にある健康な歯を削って土台にし、橋を架けるように連結した人工の歯を被せる治療法です。セメントでしっかりと固定するため、取り外しの手間がなく、インプラントには劣りますが自分の歯に近い感覚で食事ができます。
ブリッジは保険適用で治療できる場合が多く、インプラントに比べて治療期間も短くて済みます。一方で、健康な歯を削らなければならず、支えとなる歯に負担がかかるため、将来的にその歯の寿命を縮めるリスクがあります。
入れ歯
入れ歯は、取り外し可能な人工の歯と義歯床(土台)を使って、歯茎や残っている歯で支える治療法です。外科手術の必要がないため、持病がある方や高齢の方でも安心して治療を受けられます。
保険適用の部分入れ歯や総入れ歯の場合、費用を安く抑えられますが、噛む力が弱くなったり、装着時に異物感を感じたりする場合があります。見た目や装着感を重視したい場合は、金属のバネがないタイプの、自費診療の入れ歯を選ぶのもひとつの方法です。
【治療別】歯が抜けた治療にかかる費用相場・治療期間・通院頻度
以下は、各費用ごとの費用相場・治療期間・通院頻度をまとめた表です。
|
治療法 |
費用相場 |
治療期間 |
治療中の通院頻度 |
|
インプラント |
自由診療 約30〜50万円 (歯1本あたり) |
約3カ月~1年 |
4~6回程度 |
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オールオン4・6 |
自由診療 300万円前後 (片顎上下いずれかの場合) |
約3~6カ月 |
6~10回程度 |
|
ブリッジ |
保険診療 約2〜3万円 |
約1~3カ月 |
2~3回程度 |
|
自由診療 約10~40万円 |
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入れ歯 |
保険診療 約5千円~1万5千円 |
約2週間~3カ月 |
5~6回程度 |
|
自由診療 約15万円以上 |
上記はあくまで目安であり、費用相場は歯科医院によって異なります。治療期間や通院頻度は個人差があるため、詳細はカウンセリングの際に歯科医師へお尋ねください。
関連記事:ほとんど歯がない場合の治療費|治療費を抑える方法も紹介
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歯が抜けたまま治療しないでいるとどうなる?

「治療するのが面倒」「お金かかるし今すぐに治療しなくてもいいかな」と歯が抜けた状態を放置していると以下のようなリスクが生じます。
- 歯並びが崩れる
- 歯を失った部分の顎の骨が吸収されて痩せていく
- 口元のシワやたるむ
- 胃腸への負担や消化不良を招く
- 頭痛や肩こりを引き起こす
- 発音が不明瞭になる
- 認知症のリスクが高まる
- 歯を失う連鎖が起きる
- 将来的な治療の難易度と費用が増大する
ひとつずつ見ていきましょう。
歯並びが崩れる
歯が抜けたまま放置すると、空いたスペースに向かって隣の歯が倒れ込み、全体の歯並びがガタガタになる場合があります。歯はお互いに支え合って並んでいるため、1本でも失うとバランスが崩れてしまい、歯並びが悪化するリスクがあります。
また、噛み合う相手の歯がいなくなると、その歯が空いたスペースに向かって伸びてくる場合も。
歯を放置した結果、噛み合わせが悪くなると、汚れが溜まりやすくなり、新たな虫歯や歯周病の原因にもなるため、早めの治療がおすすめです。
歯を失った部分の顎の骨が吸収されて痩せていく
歯が抜けると、その部分の顎の骨への刺激がなくなり、時間とともに骨が吸収されて痩せていきます。
歯の根っこは噛む力を骨に伝え、骨の代謝を活性化させる役割があります。骨が薄く痩せると、将来いざインプラントをしたいと思っても、土台となる骨が足りずに手術がおこなえなくなる可能性や、追加費用をかけて骨造成が必要になる場合も。
また、顎の骨が減る現象は、顔貌の変化にもつながるため注意が必要です。
口元のシワやたるむ
歯や顎の骨がなくなると、口元を内側から支える力が弱まり、皮膚が余ってシワやたるみが増えます。歯は、頬や唇のハリを保つための柱のような役割があり、とくに奥歯を失うと頬がこけたり、前歯を失うと唇が内側に入り込んだりして、実年齢よりも老けた印象を与えやすくなります。
歯が抜けて噛む回数が減って口周りの筋肉(表情筋)が衰えるのも、顔の老化を加速させる要因です。
胃腸への負担や消化不良を招く
歯が抜けて噛む力が低下すると、食べ物を十分に細かくすり潰せないまま飲み込むことになり、胃腸に負担がかかります。
消化の第一段階である咀嚼が不十分だと、唾液と食べ物が混ざり合わず、消化酵素の働きも悪くなるのが消化不良を招く原因です。その結果、胃もたれや腹痛を引き起こしたり、栄養が身体にうまく吸収されなくなったりします。
歯は見た目の問題だけでなく健康な身体を維持するためにも、しっかり噛める状態を保つのが大切です。
頭痛や肩こりを引き起こす
噛み合わせのバランスが崩れると、顎の筋肉に不自然な力がかかり、首や肩の筋肉の緊張につながって頭痛や肩こりを引き起こすリスクがあります。歯が抜けた部分を避けて、片側の歯ばかりで噛む癖がつきやすいのが、頭痛や肩こりにつながる原因です。
偏った筋肉の使いかたが続くと、顎関節症のリスクも高まります。マッサージで一時的に楽になっても、噛み合わせという根本原因を治さない限り、慢性的な不調に悩まされる場合も。
発音が不明瞭になる
歯が抜けると隙間から息が漏れて、言葉がはっきりと発音できなくなります。とくに前歯を失った場合は、サ行やタ行などの空気を歯に当てて出す音が不明瞭になりやすいです。
会話中に息が漏れる音がしたり、相手に言葉を聞き返されたりするのがストレスとなり、人とのコミュニケーションを避けるようになる方もいらっしゃいます。仕事や日常生活で自信を持って話すためにも、治療で歯を補って発音機能を回復させるのがおすすめです。
認知症のリスクが高まる
歯を失って噛む回数が減ると、脳への血流や刺激が減少し、認知機能が低下するリスクが高まるといわれています。よく噛む動作は、脳の記憶や思考をつかさどる海馬の領域を活性化させる役割があります。
歯の治療をおこない、しっかり噛める状態を取り戻すのは、脳の老化防止にもつながるのです。
歯を失う連鎖が起きる
1本でも歯を失ったままにしておくと、残っているほかの健康な歯に過度な負担がかかり、次々と歯を失うリスクがあります。本来、全部の歯で分散して受け止めるべき噛む力を、少なくなった本数で支えなければならないため、負担がかかりすぎた歯が、割れたり揺れたりしてしまうのです。
大切な歯を守るためには、抜けた部分を早めに補い、特定の歯に力が集中するのを防ぐのが効果的です。
将来的な治療の難易度と費用が増大する
歯が抜けた状態の放置期間が長くなればなるほど、お口のなかの環境が悪化し、治療にかかる期間や費用が膨れ上がる場合があります。たとえば、倒れ込んだ歯をもとに戻すための矯正治療が必要になったり、痩せた骨を再生する手術が必要になったりします。
歯が抜けた直後であれば、比較的簡単な処置で済む場合もあるため、「まだ1本くらい大丈夫」と放置せず、問題が複雑化する前に歯科医院へ相談に行くのが大切です。
歯が抜けた治療で後悔しない歯科医院の選び方

歯が抜けた際の治療で後悔しないためには、ご自身に合った治療法を選ぶのはもちろん、信頼できる歯科医院を見極めるのも重要です。以下で、歯科医院を選ぶ際のチェックポイントをご紹介します。
- メリットだけでなくデメリット・リスクも隠さず説明してくれるか
- 複数の治療の選択肢を提示してくれるか
- 精密検査・治療の設備は整っているか
- 治療費の総額や追加費用の有無が明確か
- 保証制度が設けられているか
- 感染症対策がおこなわれているか
- 定期検診やメンテナンスに力を入れているか
- セカンドオピニオンに対応しているか
ひとつずつ見ていきましょう。
メリットだけでなくデメリット・リスクも隠さず説明してくれるか
歯が抜けたときの治療を受ける歯科医院を選ぶ際は、メリットだけでなく、治療に伴うデメリット・リスクも説明してくれる歯科医院を選びましょう。どのような優れた治療法にもメリットとデメリットの両方があります。
たとえばインプラントは手術が必要な点や費用が高額になる点、入れ歯なら噛む力が弱くなる点などを正直に伝えてくれる医師は信頼できます。
自分にとって不利な情報もしっかりと理解したうえで治療法を決めると、あとから「こんなはずじゃなかった」と後悔するのを防げます。
複数の治療の選択肢を提示してくれるか
ひとつの方法だけでなく、複数の治療の選択肢を提案してくれる歯科医院がおすすめです。歯を失った際の治療法にはインプラント、ブリッジ、入れ歯があり、それぞれ適したケースや費用が異なります。
歯科医師が得意な治療法だけを一方的に勧めるのではなく、患者さんの予算やライフスタイルに合わせて、保険診療と自費診療の両方の可能性を示してくれるかが重要です。
納得いくまで相談に乗ってくれる姿勢や、自分自身で治療法を選べるようにサポートしてくれる歯科医を見つけましょう。
精密検査・治療の設備は整っているか
歯科用CTをはじめとする精密検査機器や清潔な治療設備が整っている歯科医院を選ぶのも大切です。
安全で確実な治療をおこなうためには、顎の骨の厚みや神経の位置を正確に把握する必要があります。とくにインプラント手術では、平面のレントゲン写真だけでは分からない情報が多いため、3次元で骨の状態を確認できるCT撮影が重要です。
設備が充実している歯科医院は、より精度の高い医療を提供しようという姿勢の表れでもあるため、歯科医院のホームページで歯科用CTやマイクロスコープなどの設備があるか確認しておきましょう。
治療費の総額や追加費用の有無が明確か
治療を開始する前に、費用の総額や追加費用の有無を明確に提示してくれる歯科医院を選ぶと、費用面での後悔を回避できます。
自費診療は高額で、あとから予想外の追加料金を請求される場合もあるため、カウンセリングの段階で、検査代、手術代、被せ物の費用、メンテナンス料などを含めた見積書を書面で出してもらうと安心です。
不明瞭な会計システムや、費用の説明があいまいなまま治療を進めようとする場合は注意しましょう。
保証制度が設けられているか
万が一のトラブルに備えて、治療後の保証制度がしっかりと設けられているか確認するのが大切です。インプラント体や被せ物が破損したり抜けたりした場合に、無償または一部負担で再治療が受けられる仕組みがあるかチェックしましょう。
ほとんどの歯科医院では、インプラントに5年から10年程度の保証期間を設けています。ただし、保証を受けるためには歯科医院で定められた定期的なメンテナンスに通うのが条件となっている場合がほとんどなため、契約前に規約をよく読んでおきましょう。
感染症対策がおこなわれているか
歯科医院を選ぶ際は院内の清掃が行き届いており、十分な感染症対策がおこなわれているかを見てください。歯科治療では唾液や血液に触れる機会が多いため、器具の滅菌が不十分だとB型肝炎といった病気に感染するリスクがあります。
安心して治療を受けるためには、治療技術だけでなく、目に見えない衛生管理への意識が高い医院を選ぶのがポイントです。患者さんごとに手袋を交換しているか、使用する器具が滅菌パックに入っているかなどをチェックしましょう。
定期検診やメンテナンスに力を入れているか
治療が終わったあとも、定期検診やメンテナンスに力を入れている歯科医院を選ぶのも大切です。歯を失った原因が虫歯や歯周病である場合、口のなかの環境を改善しない限り、残っている健康な歯も失うリスクがあります。
また、インプラントや入れ歯を長持ちさせるには、周囲の炎症を防ぐためのプロによるクリーニングが欠かせません。かかりつけ医として、治療後のケアまで責任を持ち、生涯にわたり口の健康をサポートしてくれる姿勢があるか見極めましょう。
セカンドオピニオンに対応しているか
診断に迷った際に、セカンドオピニオンに快く対応してくれる歯科医師であるかも歯科医院を選ぶ判断基準のひとつです。ほかの歯科医師の意見も聞いてみたいと伝えたときに、嫌な顔をせずに検査データや紹介状を渡してくれる医師は、患者さんの利益を第一に考えているといえます。
ひとつの歯科医院だけの説明で即決せず、複数の専門家の意見を比較検討すると、より納得して治療に進めます。自分に最適な治療法を見つけるために、遠慮せずに相談できる環境があるかを確認しましょう。
まとめ
歯が抜けた際は歯が抜けたまま放置せず、自分に合った治療法を早めに選ぶのが重要です。主な治療法にはインプラント、オールオン4・6、ブリッジ、入れ歯があり、それぞれ費用や期間、メリットが異なります。
歯が抜けた状態を放置し続けると、噛み合わせが悪くなり残っている健康な歯を失うリスクが高まるため、予算やライフスタイルに合わせて最適な計画を立てるためにも、まずは歯科医院を受診しましょう。
当院では、歯を失ってしまった患者様1人ひとりのライフスタイルやご予算に合わせ、インプラント・入れ歯・ブリッジなど幅広い選択肢から最適な治療法をご提案しています。「自分にはどの治療がベストなのか」「費用や期間が不安」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

監修者
おくだ歯科 院長
奥田 幸祐(オクダ コウスケ)
プロフィール
歯科医師として歩みを始めたときから、インプラント治療における様々な症例に対応し、他院で治療ができなかった難症例も数多く治療してきました。自身が日々研鑽を積むだけでなく、多くのドクターにインプラント治療の指導も行っています。この豊富な経験と実績で、皆様に寄り添い難症例にも対応してまいりますので、お悩みの方は是非一度当院にご相談ください。
経歴&職歴
- 平成17年:朝日大学 歯学部 首席で卒業
- 平成17年〜24年:付属病院、開業医勤務
- 平成25年:おくだ歯科・矯正歯科 可児市広見にて開業
- 平成27年:医療法人化 医療法人ALESおくだ歯科・矯正歯科
- 平成27年:厚生労働省認定 歯科医師 臨床研修指導医 取得
- 令和元年:ITI公認 インプラントスペシャリスト
- 令和5年:日本顎咬合学会 嚙み合わせ認定医 取得
- 令和5年:特定非営利活動法人 放射線学会 CBCT認定医 取得