- コラム
目次
歯が抜けてしまうと、鏡を見るたびにショックを受けてしまいますよね。「笑ったときに見えたらどうしよう」「治療費はいくらかかるんだろう」と、見た目と費用のことで不安がいっぱいになっているのではないでしょうか。
「たった一本だし、マスク生活ならバレないかも」と放置するのは、お口の健康にとって危険な判断です。しかし、予備知識がないまま歯医者に行き、いきなり何十万円もする高額な治療を勧められて戸惑ってしまうケースも少なくありません。
大切なのは、値段の高さだけで決めるのではなく、ご自身の現在の収入やライフスタイルに合った治療法を選ぶことです。
本記事では、歯が一本抜けたときに選べる3つの主な治療法について、それぞれの料金相場・治療期間・寿命はもちろん、メリット・デメリットを解説します。
抜けた一本の歯を治療するのにかかる料金を抑える方法や、歯科医院選びで後悔しないために確認すべきポイントもご紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
【治療法別】歯が一本抜けた場合にかかる料金・治療期間

以下は、治療法別の料金相場・治療期間をまとめた表です。
|
治療法 |
料金相場 |
治療期間 |
|
インプラント |
約30万円~50万円 |
約3ヵ月~1年 |
|
ブリッジ |
保険診療 約20,000円~30,000円 |
約1カ月~2カ月 |
|
自由診療 約50,000円~15万円 |
||
|
入れ歯(部分) |
保険診療 約5,000円〜15,000円 |
約2週間~1カ月 |
|
自由診療 約10万円~50万円 |
約2カ月~3カ月 |
上記の料金や治療期間、寿命はあくまで目安です、原則インプラントは自由診療のみであり、自由診療の料金は各歯科医院によって異なります。一本抜けた歯の部分をどのように治療するか、料金はどれくらいかなどのお悩みは各歯科医院へご相談ください。
歯が一本抜けた場合の治療法

先述した治療法別の料金相場・治療期間・寿命をまとめた表も見ながら、ご自身のニーズに合った治療法を見つけましょう。歯が一本抜けてしまった方には以下の3つの治療がおすすめです。
- インプラント
- ブリッジ
- 入れ歯
一つずつご紹介します。
インプラント
インプラントは、顎骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療法です。自分の歯と同じように顎骨で支えるため、違和感が少なく、硬いものでもしっかりと噛めます。また、ブリッジのように隣の健康な歯を削る必要がない点もインプラントのメリットです。
ただし、自費診療となるため、1本あたりの費用は約30万〜50万円と高額になる傾向があります。
インプラントがおすすめな人
インプラントは以下を重視する方におすすめです。
- 費用がかかっても見た目の美しさや噛み心地を最優先したい方
- ほかの歯を削りたくない方
- 取り外し式の入れ歯に抵抗がある方
- 残っている歯を長持ちさせたい方
ただし、インプラントは外科手術が必要になるため、持病がなく体の状態が良好であるのが条件となります。全身疾患をお持ちの方でインプラントを検討する際は、まずは内科の担当医にご相談ください。
ブリッジ
ブリッジは抜けた歯の両隣にある健康な歯を削り、橋をかけるように連結した被せ物を装着する方法です。手術の必要がなく、違和感も比較的少ないのがブリッジの特徴で、保険診療のブリッジである場合、費用を安く抑えられます。
しかし、支えとなる健康な歯を削らなければならない点がブリッジのデメリットです。削られた歯は寿命が縮まるリスクがあるため、慎重に判断しましょう。
ブリッジがおすすめな人
ブリッジは以下を重視する方におすすめです。
- 外科手術を避けつつ固定式の歯を入れたい方
- 入れ歯を取り外するのが煩わしい方
- 違和感を減らしたい方
- 通院回数を抑えたい方
「インプラントは高額で手が出せない」「でも入れ歯はちょっと」という方は保険診療のブリッジであれば、できるだけ費用を抑えて治療ができます。
入れ歯
入れ歯は、人工の歯がついた土台を、金属のバネで隣の歯に引っ掛けて固定する治療法です。歯を削る量は少なく、手術も不要なため、体への負担が軽いのが特徴です。保険適用で作れる部分入れ歯の場合、安価な費用で治療をおこなえます。
ただし、噛む力は天然の歯に比べて弱くなりやすく、食後に取り外して洗浄するなどの毎日のケアが必要です。
入れ歯がおすすめな人
入れ歯は以下に当てはまる方におすすめです。
- できるだけ費用をかけずに治療したい方
- 手術や歯を削る処置を避けたい方
- 持病があってインプラント手術が難しい方
- ブリッジの支えとなる歯が弱い方
見た目よりも手軽さや体の負担の少なさを重視する方には入れ歯が向いています。
前歯と奥歯での治療方針の違い

前歯は見た目の美しさを優先し、奥歯は噛む力に耐えられる丈夫さを重視して治療法を決めます。
人目につきやすい前歯では、保険診療でも白いプラスチックの歯を選べますが、変色しやすいため、より自然な自費のセラミックを選ぶ方も多いです。一方、強い力が加わる奥歯では、割れにくい金属の歯や、強度の高いジルコニアなどが適しています。
場所によって求められる機能が異なるため、予算と相談しながら素材や治療法を選びましょう。
抜けた一本の歯を治療するのにかかる料金を抑える方法

治療費を安く抑えるためには、国の制度を利用したり、長期的な視点で考えたりするのが大切です。治療費の一部が税金から戻ってくる仕組みや、分割払いの方法を知っておくと、支払いの負担を大きく減らせます。以下で、具体的な節約のポイントを解説します。
- まずは保険診療の範囲内で対応できる治療法を相談する
- インプラントではなく比較的安価な部分入れ歯を選択する
- 確定申告で医療費控除を申請して税金の還付を受ける
- 再治療のリスクを避けて長期的なトータルコストを抑える
- 症状が悪化して複雑な処置が必要になる前に早期対処する
- デンタルローンや院内分割を利用する
それぞれ見ていきましょう。
まずは保険診療の範囲内で対応できる治療法を相談する
費用を抑える方法の一つは、健康保険が適用される治療を選ぶことです。日本の歯科治療では、見た目や素材にこだわらなければ、ブリッジや入れ歯といった基本的な機能を回復させる治療を保険でおこなえます。
初診のカウンセリング時に、「保険の範囲内で治療したい」とはっきり伝えるのが重要です。歯科医師は、予算内で可能な治療計画を提案してくれるため、遠慮せずに相談してみましょう。
インプラントではなく比較的安価な部分入れ歯を選択する
費用をかけられない場合は、保険適用の部分入れ歯を選ぶのが経済的です。インプラントが1本あたり30万円以上かかるのに対し、保険の部分入れ歯なら5,000円から15,000円程度で製作できます。取り外しの手間や見た目のバネが気になる方もいますが、手術も不要で、期間も短く済みます。
まずは入れ歯で噛む機能を回復させ、資金が貯まってからほかの治療を検討するのも一つの方法です。
確定申告で医療費控除を申請して税金の還付を受ける
1年間にかかった医療費が世帯合計で10万円を超えた場合、確定申告をおこなうと税金の一部が戻ってくる医療費控除の対象になる場合があります。高額な自費診療だけでなく、保険治療の自己負担分や、通院にかかった電車やバスの交通費も医療費控除の対象です。
生計を共にする家族全員分を合算できるため、領収書は捨てずに大切に保管しておき、忘れずに申請するようにしましょう。
再治療のリスクを避けて長期的なトータルコストを抑える
目先の安さだけでなく、長持ちするかどうかで選ぶのが結果的な節約につながります。たとえば、保険の被せ物は安価ですが、素材によっては数年で壊れたり、隙間から虫歯が再発したりするリスクがあります。そのたびに再治療を繰り返していると、結局は費用がかさむうえに、歯の寿命も縮めてしまいます。
初期費用がかかっても、精度の高い自費治療を選んだほうが、10年、20年単位で見ると安上がりになるケースもあるため、長期的な視点で治療法を検討しましょう。
症状が悪化して複雑な処置が必要になる前に早期対処する
歯が抜けたらすぐに歯科医院へ行くのが費用の節約術の一つです。歯が一本でも抜けたまま放置していると、隣の歯が倒れてきて歯並びが崩れたり、顎骨が痩せてしまったりと、お口の状態はどんどん悪化します。放置の末に悪化して治療をおこなうと、矯正治療や骨を増やす手術などの追加処置が必要になり、料金が何倍もかかる場合も。
歯が抜けた状態を放置せずに早期に対処し、余計な料金をかけずに治療をおこなうのが大切です。
デンタルローンや院内分割を利用する
高額な治療費を一度に支払うのが困難な場合は、分割払いを利用して月々の負担を軽くする方法があります。
ほとんどの歯科医院ではデンタルローンという医療専用のローンを導入しており、回数によっては月々数千円からの支払いが可能です。また、医院によっては金利がかからない院内分割に対応しているところもあります。
自分に合った支払いプランがないか、治療をあきらめる前にスタッフへ確認してみましょう。
一本でも歯が抜けた状態を放置するとどうなる?

歯が一本抜けただけでも放置すると、お口のなかだけでなく全身の健康バランスが崩れる原因になります。どのようなリスクがあるのか、具体的に見ていきましょう。
- 隣の歯が空いたスペースに向かって倒れ込んでくる
- 噛み合う相手を失った向かいの歯が伸びてくる
- 虫歯や歯周病が悪化する
- 顎骨が痩せていく
- 老けて見える場合がある
- 胃腸への負担がかかる
- 認知症の発症リスクが高まる
一つずつ解説します。
隣の歯が空いたスペースに向かって倒れ込んでくる
歯が一本抜けただけでも放置すると、抜けた歯の両隣にある歯が、空いたスペースを埋めるように斜めに倒れ込んできます。歯はお互いに支え合って並んでいるため、歯がぬけたことでバランスが崩れてしまうのです。
倒れた歯は噛み合わせが悪くなるだけでなく、大きな隙間ができて食べ物が詰まりやすくなります。この場合、失った部分の治療だけでなく、傾いた歯を起こすための矯正治療まで必要になるケースも珍しくありません。
噛み合う相手を失った向かいの歯が伸びてくる
歯が抜けて噛み合う相手の歯を失うと、向かい合わせの歯が空いたスペースに向かって徐々に伸びてきます。たとえば下の歯が抜けると、上の歯が重力に従って下がってきてます。伸びた歯は左右に歯ぎしりをしたときにほかの歯とぶつかり、顎関節症や歯が揺れる原因になりかねません。
治療の際には、飛び出した歯を削ったり神経を抜いたりする必要が出てくるため、歯が一本でも抜けた状態を放置することは、健康な歯の寿命を縮める危険な判断です。
虫歯や歯周病が悪化する
歯が抜けて歯並びがガタガタになると、歯ブラシの毛先が届かない箇所が増え、虫歯や歯周病のリスクが高まります。倒れた歯や伸びた歯の周りには汚れ(プラーク)がたまりやすく、どんなに丁寧に磨いてもセルフケアでは完全に除去できません。その結果、抜けた部分だけでなく、残っている大切な歯まで虫歯や重度の歯周病になる場合があります。
一本でも歯が抜けた状態を放置すると、お口のなかの環境が悪化し、さらなる抜歯を招く悪循環に陥るでしょう。
顎骨が痩せていく
歯を一本でも失って噛む刺激が伝わらなくなると、土台である顎骨は役割を終えたと判断され、徐々に痩せていきます。骨は刺激を受けると代謝を繰り返して強さを保っていますが、刺激がないと体のなかに吸収されて薄くなってしまうのです。顎骨が痩せてしまうと、将来インプラント治療を希望しても「骨が足りない」と断られる原因になります。
また、入れ歯を作る際にも安定しづらくなるため、歯が抜けた状態を放置せず、早めに対処しましょう。
老けて見える場合がある
歯が一本でも抜けると口元の筋肉が衰えたり、顎骨が減ったりする影響で、顔のハリが失われて老けた印象になるリスクがあります。歯は唇や頬を内側から支える役割も果たしているため、その支えがなくなると口元が内側にへこみ、ほうれい線やシワが深くなるのが老けて見える原因です。
とくに前歯を失った場合は見た目の変化が分かりやすいですが、奥歯の喪失でも頬がこけて見える原因となり、実年齢よりも上に見られやすいでしょう。
胃腸への負担がかかる
歯が抜けると食べ物を十分に噛み砕く能力が低下するため、消化が悪くなり胃腸に負担をかけてしまいます。一本でも歯を失うと噛む効率は低下するといわれており、硬いものや繊維質の野菜などを避けて、柔らかい炭水化物ばかり食べるようになりやすいです。
よく噛まずに飲み込む癖がつくと、唾液の分泌量も減って消化酵素がうまく働きません。栄養の吸収も悪くなり、全身の免疫力低下にもつながります。
認知症の発症リスクが高まる
歯が抜けると噛む行為による脳への刺激が減少し、認知症を発症するリスクが高まります。歯根の周りにある膜(歯根膜)の役割は、噛むときの圧力を感知して脳に血流を送ることです。
厚生労働省や関連学会の研究でも、残っている歯が少ない人ほど認知症になりやすいというデータがあります。脳の若さを保ち、健康寿命を延ばすためにも、噛める状態を維持するのは大切です。
関連記事:8020現在歯数と健康寿命 – 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020|日本歯科医師会
歯科医院選びで後悔しないために確認すべきポイント

同じ治療であっても、歯科医院によって方針や技術力、設備には違いがあります。信頼できる医院を見極めるためのチェックポイントを以下で紹介します。
- 納得いくまで丁寧にカウンセリングをしてくれるか
- 治療のメリットだけでなくリスクやデメリットも説明してくれるか
- 特定の治療法を押し付けず複数の選択肢を提案してくれるか
- 精密機器を用いて正確な診断をおこなっているか
- 治療費の総額や内訳を事前に明確に提示してくれるか
- 万が一のトラブルに備えて保証制度が充実しているか
一つずつ見ていきましょう
納得いくまで丁寧にカウンセリングをしてくれるか
治療を始める前に、患者さんの悩みや希望をじっくりと聞いてくれる歯科医師かどうかを確認しましょう。良い歯科医師は、すぐに削ったり抜いたりせず、まずは「どうなりたいか」を共有する時間を大切にします。分からない点や不安な点を質問したときに、面倒がらずに分かりやすく答えてくれるのも重要なポイントです。
安心して治療を任せられる信頼関係を築くためにも、十分な対話がおこなえる環境かどうか見極めましょう。
治療のメリットだけでなくリスクやデメリットも説明してくれるか
良い点ばかりでなく、治療にともなうリスクやデメリットまで隠さずに教えてくれる歯科医院を選んでください。どんなに優れた治療法にも、費用が高い、手術が必要、将来的なメンテナンスが大変といったマイナス面は存在します。都合の悪い事実を曖昧にせず、誠実に伝えてくれる歯科医師が安心です。
あとで「こんなはずじゃなかった」とトラブルになるのを防ぐためにも、リスクやデメリットの説明とそれに対する理解は大切です。
特定の治療法を押し付けず複数の選択肢を提案してくれるか
一つの治療法だけでなく、保険診療や自費診療を含めた複数の選択肢を提案してくれるかどうかも重要なポイントです。「インプラントしかできない」と決めつけるのではなく、ブリッジや入れ歯の可能性も検討し、それぞれの違いを比較してくれる歯科医院が理想的といえます。
患者さんのライフスタイルや予算は一人ひとり異なるため、プロの視点からもっとも合う方法を一緒に考えてくれる姿勢があるかを見極めましょう。
精密機器を用いて正確な診断をおこなっているか
治療の成功率を高めるためには、CTやマイクロスコープなどの精密機器を使った正確な診断が欠かせません。とくにインプラントのような外科手術をともなう場合、顎骨の状態や神経の位置を立体的に把握する必要があります。従来のレントゲンだけでは見えない部分まで詳しく検査をおこなうと、安全で確実な治療計画が立てられます。
設備への投資は、患者さんの安全を第一に考えている証拠として確認しておきたいポイントの一つです。
治療費の総額や内訳を事前に明確に提示してくれるか
治療をスタートする前に、最終的にかかる費用の総額や内訳を書面で明確に提示してくれる歯科医院がおすすめです。自費診療は高額になりやすいため、治療費だけでなく、検査代や仮歯代、メンテナンス料などが別途かかるのかを確認する必要があります。
あとから追加料金を請求されて困ることがないよう、見積もりの段階で細かく説明してくれる歯科医院か確認しましょう。
万が一のトラブルに備えて保証制度が充実しているか
治療が終わったあとも安心して使い続けるために、保証制度の内容が充実しているかを確認しておくのも大切です。自費診療の被せ物やインプラントには、万が一破損したり抜けたりした場合に、無料で修理や再治療が受けられる保証期間が設けられているのが一般的です。
ただし、定期検診に通うのが条件になっているケースが多いため、保証が適用されるルールについても事前に聞いておくと、将来的なトラブルを回避できます。
まとめ
歯が一本抜けた場合の治療法はインプラント、ブリッジ、入れ歯の3種類あり、費用は保険適用の数千円から自費の50万円前後まで幅広いです。歯の一本くらい抜けても大丈夫だと放置せず、予算や生活に合わせた治療法を選択をしましょう。
当院では、まずは丁寧なカウンセリングをおこない、ご予算やご希望に合わせた複数の選択肢をご提案いたします。「まずは費用の目安だけ知りたい」「自分に合う治療法を相談したい」という方はぜひ一度お気軽にご相談ください。

監修者
おくだ歯科 院長
奥田 幸祐(オクダ コウスケ)
プロフィール
歯科医師として歩みを始めたときから、インプラント治療における様々な症例に対応し、他院で治療ができなかった難症例も数多く治療してきました。自身が日々研鑽を積むだけでなく、多くのドクターにインプラント治療の指導も行っています。この豊富な経験と実績で、皆様に寄り添い難症例にも対応してまいりますので、お悩みの方は是非一度当院にご相談ください。
経歴&職歴
- 平成17年:朝日大学 歯学部 首席で卒業
- 平成17年〜24年:付属病院、開業医勤務
- 平成25年:おくだ歯科・矯正歯科 可児市広見にて開業
- 平成27年:医療法人化 医療法人ALESおくだ歯科・矯正歯科
- 平成27年:厚生労働省認定 歯科医師 臨床研修指導医 取得
- 令和元年:ITI公認 インプラントスペシャリスト
- 令和5年:日本顎咬合学会 嚙み合わせ認定医 取得
- 令和5年:特定非営利活動法人 放射線学会 CBCT認定医 取得